日本移民、闇の歴史に光=ブラジル政府、迫害を初めて謝罪
【ブラジリア時事】ブラジル政府は25日、諮問機関「恩赦委員会」の会合を開き、第2次世界大戦で日本移民に行った迫害に対する間違いを認め、ブラジル政府として初めて正式に謝罪した。戦争の混乱で歴史の闇に葬り去られてきた蛮行に、戦後79年で光が当たることになった。
同委が全会一致で謝罪を決定した。アルメイダ委員長は謝罪した上で、拷問や人種差別など日本移民が受けた仕打ちに触れて、「こうしたことが再び起きないよう次の世代に語り継ぐ」と表明した。
日本移民は1943年7月、ブラジル南東部の港町サントスに住む約6500人がスパイの疑いで強制退去を命じられた。日々の暮らしが一変し、多くが家などの財産を失った。戦後には日本移民の間で日本の勝利を信じる人々が多数派となり、敗戦を受け止めた人々との激しい抗争に発展。勝利を信じ続けた人を含め約170人が刑務所に送られた。
時間の経過とともに当時を知る人は少なくなった。ブラジル生まれの橋本和英さん(94)は強制退去を経験し、転居先では日本移民同士の抗争も目撃した。事前の取材に「苦しかった」と当時を思い出し「謝罪されても報われない」と口を結んだ。
米国は1988年に日系人の強制収容に対して謝罪した。ブラジル政府の謝罪が遅れたことについて、邦字紙「ブラジル日報」の深沢正雪編集長(59)は、移民同士の抗争について「恥ずかしいことをしたという認識があった」ことで、日本移民側から謝罪などを言い出せなくなったためと分析した。今回の謝罪を通じて「ブラジルの歴史の一部として当時のことを見直す機運が高まれば」と期待を込めた。
[時事通信社]
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