波紋広げる中国競泳ドーピング問題=WADAへ批判、高まる緊張
パリ五輪開幕を控え、ドーピング問題が波紋を広げている。中国の競泳選手23人が2021年東京五輪の数カ月前のドーピング検査で陽性となりながら、五輪出場を認められたことが今年4月に判明。独立検察官の中間報告では世界反ドーピング機関(WADA)の不正はなかったとしたものの、WADAの信頼性や隠蔽(いんぺい)を疑う批判がくすぶっている。
中国選手は国内大会で採取された検体から禁止薬物トリメタジジンが検出された。中国反ドーピング機関は宿舎の食物汚染が原因として処分を科さず、WADAも容認。宿舎の調理場からは同薬物が検出された。中間報告書は、WADAが中国選手に便宜を図ったことを示唆する証拠はないとした。
トリメタジジンは持久力向上の効果があるとされる。22年北京冬季五輪ではフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(ロシア)が五輪前に採取された検体から検出されたことが大会中に発覚し、4年間の資格停止処分を受けた。中国競泳男子の孫楊の検体から見つかったこともある。
当該の中国選手23人のうち、11人はパリ五輪に出場する予定。ロイター通信によると、競泳男子で五輪金メダルを量産したマイケル・フェルプスさん(米国)は「アスリートとして、われわれはもはやWADAを妄信することはできない」と非難。米国反ドーピング機関(USADA)も報告書に疑問を呈した。
一方でUSADAも、昨年の陸上世界選手権男子200メートルで銀メダルのエリヨン・ナイトン(米国)が3月の検査で禁止薬物に陽性反応を示しながら、汚染された肉の摂取が原因の可能性が高いとして、本人に過失なしと結論付けた。ナイトンは米国代表選考会の参加が認められ、パリ五輪の出場権を獲得。WADAはUSADAを批判し、緊張は高まっている。
過去にはロシアの組織的なドーピングが暗い影を落とした。クリーンな大会実現へ、選手の自覚と責任ある行動が問われている。 (パリ時事)
[時事通信社]
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