対中政策への影響注視=米大統領選で見方交錯も―日本政府
バイデン米大統領の大統領選からの撤退表明について、日本政府は「どういう展開になっても対応できるよう準備する」(外務省幹部)と冷静に受け止めている。民主党、共和党いずれの政権でも中国をにらんだインド太平洋地域への関与が継続されるよう、米側への働き掛けを続ける方針だ。
「日米同盟はわが国の外交・安全保障の基軸だ。今後の動きを注視したい」。岸田文雄首相は22日、首相官邸で記者団にこう語った。
首相は4月に米国を公式訪問し歓待されるなど、バイデン氏と関係を築いてきた。政府関係者は撤退について「想定の範囲内」と表向き冷静を装っているが、閣僚経験者は「トランプ前大統領の再登板リスクには戦々恐々としている」と身構える。
バイデン氏は就任以来、中国を警戒しインド太平洋地域への関与を強化。首相と韓国の尹錫悦大統領をワシントン近郊のキャンプデービッド山荘に招くなど、北朝鮮対応でも同盟国との足並みを重視してきた。外務省幹部が「インド太平洋地域への関心が強かった」と評価するバイデン氏の撤退に、政府高官は「米国の外交政策に影響しかねない」と指摘した。
次期大統領が就任するのは来年1月で、レームダック(死に体)への懸念も広がる。林芳正官房長官は22日の記者会見で「日米両政府間でしっかり意思疎通し、緊密に連携していく」と強調した。
バイデン氏が大統領選の民主党候補に推したハリス副大統領に関しては「政策面では大統領を継承する」(首相周辺)との見方が専ら。一方で、「リーダーシップを発揮しているイメージはない。未知数だ」(政府関係者)との評も上がる。
バイデン氏撤退に先立つ20日、自民党の茂木敏充幹事長は「『確トラ』に近くなってきている」と述べ、トランプ氏が返り咲く可能性が高いとの認識を示した。大統領選に関する政権内の見方は交錯しており、政府としては選挙戦を注視するしかないのが実情だ。
[時事通信社]
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