故郷を背負ってパリへ=パレスチナ代表
昨年10月にパレスチナ自治区ガザで、イスラエルによる軍事作戦が始まってから9カ月余り。パレスチナ代表が長引く戦禍に傷ついた故郷への思いを胸に、パリ五輪に臨む。
自身のSNSに、誇らしげにポーズを取る写真と共に「歴史をつくる」と今年3月に投稿したのは、テコンドー男子で18歳のオマル・ヤセルイスマイル選手。中国で行われた五輪アジア予選の58キロ級で1位となり、五輪出場権を勝ち取った喜びに浸った。
ロイター通信によると、パレスチナでは、この9カ月で約300人以上の選手や関係者が犠牲になっており、満足な練習環境を求めることは当然難しい。仏テレビ局フランス24は、パリ五輪代表に入った8人のうち、予選を突破したのは1人だけと伝えた。困難な状況に打ち勝ったヤセルイスマイル選手は「ここまで来られたことを誇りに思う」とつづった。
選手団としては、1996年アトランタ五輪から8度目の参加。まだ五輪のメダルに縁はないが、今回の選手団はただ単に表彰台を目指しているわけではない。競泳女子で代表入りしたバレリ・タラジ選手は「私はパレスチナの旗を掲げられるチャンスを得た。ふるさとのために泳ぎたい」。開会式で旗手を務める予定の競泳男子のヤザン・バウワブ選手は「われわれは、ここにいることで既に勝者だ」と胸を張った。(パリ時事)
[時事通信社]
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