中間層再生、製造業復活は道半ば=インフレ足かせに―バイデン氏
【ワシントン時事】再選を断念したバイデン米大統領にとって、最後まで足かせとなったのはインフレだった。米経済はコロナ禍から力強い回復を遂げ、雇用の大幅増も実現したが、物価高で「追い風」を生かし切れなかった。掲げた中間所得層の再生や製造業復活は道半ばとなった。
一時は約40年ぶりの高水準となった米国のインフレ率は大きく低下。大幅利上げで対応していた連邦準備制度理事会(FRB)も、利下げを視野に入れる。
しかし、価格水準そのものは以前より高く、消費者心理を圧迫している。調査会社ユーガブなどが13~16日に行った世論調査では、最重要の懸案として「インフレ・物価」を挙げた回答が25%と、最も多かった。
バイデン氏は「1500万人の雇用を創出した」と成果を誇る一方、物価抑制で「もっとやるべきことがある」と繰り返し語り、国民の懸念に何とか応えようとする姿勢を示してきた。しかし、支持率低迷からの脱却には至らなかった。
バイデン氏はまた、電気自動車(EV)振興を含めた気候変動対策や半導体支援といった産業政策を推進。「史上最も労働組合寄りの大統領」を自称し、戦略物資の国内生産拡大と雇用創出に取り組んだ。昨秋の全米自動車労組(UAW)による大規模ストライキに際しては、現職大統領として異例の現場訪問を決行、露骨に肩入れしてみせた。
激戦州のミシガン州やペンシルベニア州など、製造業が盛んな地域では、労組の支持を取り付けたものの、支持率は伸び悩み、トランプ氏に水をあけられた。11日には自動車業界への新たな補助金発表に合わせ、「自動車産業と労働者のための闘いを決してやめない」と訴えたが、民主党内の撤退圧力に抗し切れなかった。
[時事通信社]
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