中東の紛争拡大に現実味=イスラエル、親イラン組織と対立激化
【イスタンブール時事】イスラエル軍が20日、イエメンの武装組織フーシ派が支配する同国西部を空爆した。昨年10月のパレスチナ自治区ガザでの戦闘開始以降、イスラム組織ハマスと連帯する親イラン組織とイスラエルの対立は各地で激化している。フーシ派への初攻撃で、中東での紛争拡大が現実味を増している。
フーシ派は系列メディアで、空爆された石油貯蔵施設が激しく炎上する映像を公開。フーシ派幹部は、空爆を「(ハマス)支援をやめさせる圧力」と非難。「残忍な侵略行為はわれわれの決意を強めるだけだ」として、イスラエル攻撃を続けると主張した。
ガザでのイスラエルとハマスの戦闘は既に9カ月超に及び、停戦や人質解放を巡る交渉は難航。この間、イスラエルはハマスだけでなく、今回空爆したフーシ派や、強大な軍事力を有する北隣レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなど「抵抗の枢軸」と称される親イラン勢力から攻撃を受けてきた。
今年4月には、イスラエルによる在シリア・イラン大使館空爆の報復として、イランが初めてイスラエルを直接攻撃。イスラエルがイラン領内へ反撃し、報復の応酬に発展した。双方とも全面衝突を回避するため抑制的な対応にとどめたが、ヒズボラがイスラエルへの越境攻撃を続けるなど、各地に飛び火しかねない戦争の火種はくすぶり続けている。
イスラエルは、19日に中部テルアビブで死者を出したフーシ派のドローン攻撃が「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」と判断。ガラント国防相は「イエメンで燃え盛る炎は中東全体で見えるだろう」と述べ、イランやその代理勢力を念頭にけん制した。ただ、ヒズボラはイエメン空爆後、「新たな危険な段階の始まりだ」と警告。反イスラエル感情が高まり、挑発行為の増加で緊張や混乱が一段と悪化する恐れもある。
[時事通信社]
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