容疑者の動機解明進まず=トランプ氏銃撃から1週間
【ワシントン時事】トランプ前米大統領の暗殺未遂事件から20日で1週間を迎えた。生還したトランプ氏は共和党の大統領候補指名を受諾し、11月の大統領選に向けて選挙運動を加速させている。ただ、現場で射殺されたトーマス・クルックス容疑者(20)の動機解明は進んでいない。
事件は13日、東部ペンシルベニア州バトラーで開かれた選挙集会で発生した。トランプ氏は演説中に銃撃を受け、右耳を負傷したものの、間一髪で命拾いした。集会に参加していたコリー・コンペラトーレさん(50)が銃弾を受けて死亡し、2人の男性も重体となった。
銃撃を受けた直後に聴衆に右の拳を掲げるなどしたトランプ氏の行動は、「不屈の指導者」との評価につながり、党内の求心力を高めた。15~18日に中西部ウィスコンシン州で開かれた党全国大会には予定通り出席し、拍手喝采を浴びた。20日には事件後初の選挙集会を中西部ミシガン州グランドラピッズで開き、副大統領候補のバンス上院議員と共に演説する。
一方、連邦捜査局(FBI)は容疑者の携帯電話やパソコンなどを押収して全容解明を進めている。これまでの捜査で単独犯との見方を強め、外国政府とのつながりを示す証拠なども見つかっていないと説明。しかし、容疑者がなぜトランプ氏を標的としたかなどは分からないままだ。
事件は大統領警護隊(シークレットサービス)などによる警備態勢に疑問を投げ掛けた。警護隊のチートル長官は「間違いがあった」と認めたが、米下院は22日に公聴会を開き、チートル氏を喚問する構えだ。
事件は民主、共和両党が激しく対立し、米社会を分断する中で、政治的暴力が横行するリスクも浮き彫りにした。バイデン大統領とトランプ氏はそれぞれ国民に団結を呼び掛けたが、大統領選を控えて社会の融和が進むかは見通せない。
[時事通信社]
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