違反の是正指導700件超=長時間荷待ちや契約外業務―「トラックGメン」発足1年・国交省
トラック運転手が不足する物流の「2024年問題」対策で、運送現場で適正な取引が行われているか監視する国土交通省の「トラックGメン」が発足してから21日で1年を迎える。6月末までの約11カ月間で、荷主や元請け企業に対して行った是正指導は計722件。専門家は「Gメンの働きによって生じた事業者側の具体的な変化を公表することが重要」と指摘する。
同省は、本省や地方運輸局に162人を配置。運送会社の営業所に電話し、荷待ち時間は長過ぎないか、運賃は適正か、荷物の仕分けといった契約外の業務はないかなどを聞き取る。高速道路サービスエリアで運転手に話し掛けることもある。
運賃交渉を実現した運送会社から感謝された経験を踏まえ「やりがいは大きい」と話すのは、関東運輸局の小宮新さん(38)。初めは「困り事はない」としていた会社の担当者が時間をかけて話すうちに課題を打ち明けてくれることもあり、「信頼してもらえるよう丁寧な対応を心掛けている」とする。
ただ、荷主や元請けからの契約解除を危惧し、申告内容を取り下げるケースも。運送会社の立場が弱い業界構造に切り込む難しさはあるという。
違反やその疑いがあれば、貨物自動車運送事業法に基づいて是正指導する。同省によると、取引の自主点検を促す働き掛けは、これまでに550件実施した。
違反行為の改善を要請したのは170件。違反の原因が解消されるまで経過観察を実施している。さらに、要請後にも対策が講じられなかった場合の社名公表を伴う勧告措置は2件あった。是正指導した行為の中で最も多いのは長時間の荷待ちで、全体の半数超を占めた。
勧告には効果が大きいとされる一方、働き掛けや要請の段階では社名も改善内容も非公表となっている。運送業に詳しい行政書士の阪本浩毅さんは「Gメンの働きで荷待ち時間がどの程度減ったかなど、具体的な対応の変化を公表するとともに、運送会社が何を申告しても監査で不利益を受けないと担保することが重要だ」と指摘する。
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