路上から発展したバトル=伝統競技と異なる魅力―ブレイキン
パリ五輪で唯一の新競技、ブレイキン(ブレイクダンス)。ストリートカルチャーから発展したとあって、伝統競技とは異なる魅力や見どころがある。背景も興味深い。
歴史は1970年代初頭にさかのぼる。米ニューヨーク市のブロンクス地区は違法薬物がまん延し、ギャングの抗争が激しかった貧困地域。ここで当時DJだったギャングのボスが「暴力ではなくダンスで勝負しよう」と提唱したことが、1対1で競う現在のバトルスタイルの起源とされる。
80年代前半にニューヨークで爆発的にヒットし、メディアで取り上げられて映画化もされた。流れは間もなく日本に押し寄せ、「ヒップホップ」という言葉が使われるようになったのも80年代とされる。やがて欧州に広まり、審査員をつけた権威あるバトルイベントが開催されるようになった。
2018年ユース五輪での実施を経てダンススポーツとして発展を遂げた今も、大会は「カルチャー」と「スポーツ」に分類される。どちらもDJの選曲に合わせ即興で技を繰り出すが、前者は主に格好良さや、どれだけ会場を沸かせたかで勝敗を決める。今回の五輪や世界ダンススポーツ連盟主催の大会はボディー(身体能力)、ソウル(踊り方)、マインド(自分らしさ)の三つを軸に創造性や音楽性など複数項目を基準に採点する。
大切なのはいかに自分らしさを表現できるか。服装や髪形など自由なスタイルが尊重され、バトルに敗れても握手やハグで相手をたたえる独特の文化が存在する。
男子のSHIGEKIXこと半井重幸(第一生命保険)は「カルチャーでとどめておくにはもったいないくらいの力や、人を感動させるエネルギーがある」と語る。ただ、理由は定かではないものの、点数をつける競技化の動きには疑問の声が付きまとい、パリでの実施を待たずして28年ロサンゼルス五輪の実施競技から外れることが決まっている。パリの舞台は紡いできた歴史を世界に発信する機会となる。
[時事通信社]
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