染色体数異常の原因解明=高齢卵子で増加―理研など
高齢妊娠でリスクが高まる流産やダウン症の原因となる卵子の染色体数異常は、染色体が分配される際、小さなサイズの染色体が適切なタイミングより早く分離する状態に置かれることで引き起こされると、理化学研究所の研究チームが発表した。論文は18日付の米科学誌サイエンス電子版に掲載された。
卵子の元となる卵母細胞には体細胞と同じ23種46本の染色体があり、減数分裂で卵子に23種23本の染色体を分配する。これまでの研究で、染色体同士をつなぎ留めるたんぱく質(コヒーシン)が加齢で減少し、不均等な分配を生むことが分かっていた。しかし、23種の中でも小さなサイズの染色体に異常が多くみられる理由はよく分かっていなかった。
理研生命機能科学研究センターの北島智也チームリーダーらは、老化したマウス(16月齢)の卵母細胞が減数分裂する様子を可視化する技術を開発し、染色体の動きを詳しく調べた。
染色体は微小管という小器官に引っ張られて分離するが、観察の結果、小さなサイズの染色体は微小管の力をより強く受ける場所に移動していることが判明。老化マウスではコヒーシンの減少で接着力が弱まっており、本来より早期に分離していた。早く分離すると分離後も微小管の力を受けるため、不均等な分配につながるという。
[時事通信社]
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