「志を胸に作品作り続ける」=遺族や社長参列し追悼式―京アニ放火事件から5年
アニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)が放火され、36人が死亡、32人が重軽傷を負った事件から5年となった18日、現場のスタジオ跡地で同社主催の追悼式が営まれた。遺族や八田英明社長ら144人が参列し、犠牲者の冥福を祈った。
京アニによると、式は非公開で午前10時半ごろから始まり、参列者が黙とうをささげた。八田社長はあいさつで「作品を作り続けることが皆の思いを引き継ぐことと強く胸に刻み、一歩一歩歩んでまいりました。今後もみんなが残してくれた志を胸に、作品を作り続け、届けてまいります」と話した。
同社の従業員は弔辞で「5年たった今でも、大切な仲間を亡くしたという喪失感が変わらず胸の内にあります。皆と過ごしたものづくりの日々は今でも色あせることはありません。これからも私たちは作品を作り続け、『志』を未来へつないでいきます」と述べた。
事件は2019年7月18日に発生。スタジオにガソリンをまいて放火したなどとして、殺人などの罪で青葉真司被告(46)が起訴された。今年1月、京都地裁は青葉被告に死刑判決を言い渡し、被告側が控訴している。
本社がある京都府宇治市の「お茶と宇治のまち歴史公園」では今月14日、事件を伝える「志を繋ぐ碑」が公開された。この日は朝からファンらが次々と訪れ、碑に向かって手を合わせていた。
京都市右京区の医療法人職員福浦憲之さん(68)は「36人への思いをつなげられる場所ができて良かった。ファンは待っているので、京アニは一つ一つ作品を作ってほしい」と話した。京都府亀岡市の公務員谷文乃さん(22)は「人生の節目節目で京アニの作品には元気をもらった。来るか迷ったが、実際に来てみて、犠牲者や家族の方の思いが伝わってきた」と語った。
八田社長は追悼式終了後、報道陣の取材に応じ、「あれだけ優秀な人たちが一瞬にして命を奪われてしまったこと(への気持ち)は言葉に言い表せない。たとえ10年がたとうと変わらないと思う」と述べた。
[時事通信社]
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