強制不妊国賠訴訟、全面和解へ=岸田首相の「除斥」撤回表明受け
岸田文雄首相は17日、不妊手術を強制された被害者らとの面会で、現在も継続中の旧優生保護法を巡る国家賠償請求訴訟に関し、不法行為から20年で請求権が消滅する「除斥期間」の適用を求める主張を撤回すると伝えた。一連の訴訟は和解協議に移行し、終結する公算が大きくなった。
旧法に基づく強制不妊手術を巡っては、これまで計39人が全国12地裁・支部に提訴。国は除斥期間の適用を主張の柱に据え、争う姿勢を示してきた。
3日に言い渡された5件の訴訟の上告審判決では、最高裁大法廷が「請求権の消滅が著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない場合は、除斥期間の主張は許されない」と判断し、判例を変更。国の主張は権利乱用などに当たるとして退け、原告の全面勝訴となった。
今回、首相が除斥期間の適用を主張しないと表明したことで、訴訟の最大の争点は消え、裁判を継続する必要はなくなる。
一連の訴訟は最初の提訴から既に6年以上が経過。原告側弁護団によると、39人中6人が訴訟中に亡くなった。手術を受けたと認められず、敗訴が確定した原告もおり、今後救済の対象になるのかも議論になりそうだ。
[時事通信社]
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