大規模緩和と消費増税、当事者に聞く=日銀の14年上半期議事録(下)
◇内需主導の「2%」に難しさ
白井さゆり・元日銀審議委員(慶大教授)
―2014年4月の消費税増税の影響をどうみていたか。
駆け込み需要を除けば消費の基調は弱いのではないかと14年初めから発言していた。反動をかなり意識していた。
―自身は物価上昇率2%の実現は16年度と予想していた。
当初から達成時期の見通しは慎重だった。15年度以降も緩和を継続するという前提で何とか達成可能かもしれないと考えた。ただ、下振れリスクは高いとみていた。
―物価は増税後失速し、2%達成は遠のいた。
円安の進行が一服して横ばいになったこともあるが、やはり原油価格下落の影響が一番大きい。消費税増税が実質消費を大きく落ち込ませたことも確かで、戻るまでには何年もかかった。
―異次元緩和の効果はどの程度あったか。
デフレは払拭した。ただ、消費を拡大し、内需を基にしたインフレ圧力によって2%にするのは困難だった。高齢化して消費性向が高くないこの国では、なかなか難しいところがある。
―今後の金融政策は。
まだ(賃金上昇が物価上昇を促す)「第2の力」が起きておらず、利上げは慎重に進めるのではないか。日銀当座預金に付ける金利の支払いコストを考えても利上げは0.3%程度までだろう。金融政策の正常化は、利上げよりも、ゆっくりと予測可能な形で量的引き締め(QT)を進める方が中心になる。
[時事通信社]
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