美しいサンゴ礁「みんなのもの」=サーフィン開催のタヒチ島―パリ五輪
周辺に美しいサンゴ礁の浅瀬が広がる仏領ポリネシアのタヒチ島。五輪のサーフィン競技は、パリから約1万6000キロ離れた小さな島で実施される。
タヒチ島のチョープーは、トンネル状の波が起きる美しいサーフスポットとして知られる。大会組織委員会は「フランスの豊かで多様な歴史や伝統が示される」と強調。大会が目指す多様性などの理念を表すものとして、南太平洋での開催をアピールしてきた。
大会が「持続可能性」を掲げ、環境問題への配慮をうたう一方で、現地では五輪開催がサンゴ礁にもたらす影響を懸念する声も上がる。大会に向け、既存の木造の審判用タワーに代わって、海上にアルミ製の新タワーをつくる計画が明らかになると、地元住民や国内外の有名サーファーが相次いで反対を表明。会場周辺でデモが起きる騒動になった。
反発を受けて、新タワーは当初の計画より規模を縮小して完成。抗議団体は組織委の取り組みに一定の評価を示した。それでも、競技会場周辺で長年ボートタクシーを営む60代の男性は「サンゴ礁に穴を開けて作られたタワーは好きになれない。(規制のため)五輪の間はここで商売もできなくなる。海はみんなのものなのに」。五輪がもたらしたチョープーの変化に、地元の人たちからは戸惑いものぞく。
世界有数のサーフスポットながら、チョープー周辺は商業地化されておらず、豊かな自然が広がる。地元の50代の女性は、会場近くに五輪関連施設の設営が進む様子を見ながら「五輪が終わった後、タヒチ島とチョープーがどうなるのか。そこにも目を向けてほしい」と心配そうに話した。南太平洋の小さな島で、間もなく五輪が幕を開ける。(チョープー=仏領タヒチ島=時事)
[時事通信社]
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