捉えた「金」への航路=新種目に挑む岡田、吉岡組―セーリング・パリ五輪「最高の輝きへ」
「よくみんなが言うじゃないですか。五輪には魔物がいるって。まさしくその通りだなと思った」。セーリング女子470級で2016年リオデジャネイロ、21年東京の両五輪に出場した吉岡美帆(33)=ベネッセ=は、そう実感を込める。リオは「普段しないようなミスを連発」して5位。東京ではコロナ禍という想定外の「魔物」の影響で満足な練習が積めず、7位に終わった。
男女別の種目が廃止され、パリ五輪は新採用の混合470級に臨む。東京五輪後、自ら声を掛けて誘ったのが同五輪男子470級7位の岡田奎樹(28)=トヨタ自動車東日本=だった。「これからどうするの」とメッセージを送るとすぐに返信があり、カフェで落ち合った。「金メダルを目指そう」。二人の覚悟は固まった。
風を読むのが得意な岡田は艇のかじを握る「スキッパー」で、吉岡は主にバランスを取る「クルー」。当初は男子の高いレベルに食らい付くのがやっとだった吉岡も、場数を踏むごとに成長した。二人は繊細な技術が求められる風が弱いレースが得意で、昨年の世界選手権で優勝。杭州アジア大会でも金メダルに輝くなど、順調に実績を積み上げている。
欧州が本場の競技。日本では470級が盛んで、過去2度の五輪メダルはこの種目で獲得した。ただ、まだ頂点に立ったことはない。「今までのヨット人生で得たことを、パリで全てぶつけたい」と吉岡。岡田は「心技体と船の四つを最後に微調整し、日本人初の金メダルを取れるように頑張る」。パリ五輪の会場はマルセイユ。悲願に向けた航路をしっかりと捉え、大海原に乗り出す。
[時事通信社]
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