米共和、大統領選へ結束強化=15日に党大会開幕―トランプ氏銃撃
【ワシントン時事】トランプ前米大統領(78)が演説中に銃撃され負傷した事件は衝撃を広げ、11月の大統領選の行方にも影響しそうだ。4年ぶりの政権奪還を目指す共和党は、15日からの党全国大会で、トランプ氏の下で結束を一層強める見込みだ。対する民主党は、バイデン大統領(81)の選挙戦継続を巡って分断が深刻化する中、トランプ氏を攻撃しづらくなった。
トランプ氏は13日、東部ペンシルベニア州で行った選挙集会で演説し、「共和党は今、最も団結した政党だ」と聴衆を鼓舞。直後に壇上に向けて銃撃があった。退避する際、聴衆に拳を突き上げると、割れんばかりの「USA!」の歓声が湧き起こった。その後、同氏は支持者宛てに送信したメールで「絶対に屈しない」と強調した。
トランプ氏の副大統領候補に取り沙汰される共和党のバンス上院議員はX(旧ツイッター)で、「トランプ氏が独裁者でありどんな手段を使っても止めなければならない、というバイデン陣営の主張が暗殺未遂事件につながった」と非難した。事件を巡っては、容疑者が会場近くの建物の屋上に身を潜めていたとの目撃情報も伝えられており、警備の不備への批判が高まればバイデン政権への逆風になる可能性もある。
バイデン氏の陣営は事件を受け、選挙運動を一時停止。テレビ広告などの差し止めを急いでいる。民主党はこれまで、政治的暴力をあおってきたとしてトランプ氏を「民主主義に対する脅威」だと攻撃してきたが、こうした主張は難しくなり、今後の選挙戦略は見直しを余儀なくされた。
中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで開かれる共和党大会の会期は18日まで。トランプ氏と副大統領候補を正式指名し、政権公約となる綱領を採択する。
トランプ氏は負傷にもかかわらず出席の意向を表明。不屈の姿勢をアピールするとみられ、党大会はトランプ氏を「凶弾を浴びた英雄」と持ち上げる集会と化しそうだ。前回大統領選の結果を覆そうとした同氏に批判的な党穏健派は、声を上げにくい雰囲気になる。
公式日程は未発表だが、通常は大統領候補が最終日に、副大統領候補がその前日に指名受諾演説を行う。演説者リストには党議員や知事のほか、トランプ一族から長男ジュニア氏や次男エリック氏、同氏の妻ララ氏らが名を連ねた。メラニア夫人や長女イバンカさんの名前はなかった。
[時事通信社]
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