顔ゆがめ、うずくまるトランプ氏=会場パニック、「民主党のせい」の声
【バトラー時事】突然右耳を押さえ、顔をゆがめてうずくまるトランプ前米大統領―。13日、発砲があったペンシルベニア州バトラーの共和党の選挙集会会場は、トランプ氏の登壇で最高潮に高まった熱気から一転、パニックに包まれた。支持者からは、事件を民主党のせいにする声も上がった。
事件が起きたのは、トランプ氏が演説を開始してから約6分後、移民問題を話している最中だった。同氏は銃声が響くと耳を押さえ、一瞬驚いたような表情を浮かべて演台の後ろにしゃがみ込んだ。直後に警護官らが壇上に殺到。異常事態が起きたことを悟った会場からは、悲鳴や怒号が沸き起こった。
約1分後、警護官に支えられながら立ち上がったトランプ氏は右耳から血を流したまま興奮したように右手を支持者に何度も突き出し、自身が無事であることを強調。支持者の「USA!」のシュプレヒコールの中、囲んだ警護官に支えられて用意された車に足早に乗り込んだ。
聴衆から「発砲だ」と声が上がると、後ろの方にいた一部の支持者が出口に向かって駆け出して会場は混乱。泣きだした若い女性を抱えるようにして必死に走る男性の姿もあった。
消防士のクリス・タカッチさん(56)は「銃弾が聴衆の座っていたスタンドをかすめたような音が聞こえた。スピーカーの支柱に当たったようだった」と声を震わせ、「本当に悲しい。信じられない事態だ」と憤った。
集会が打ち切られた後、聴衆が会場の外に移動すると、支持者の一部は興奮状態に。ある男性が「民主党が俺たちの『トランプ大統領』を撃った」と叫ぶと、周辺からは「その通りだ」と声が上がり、会場付近は再び騒然となった。
「(治安悪化は)不法移民のせいだ」と主張し、事件を移民問題に転嫁して怒りを発散させる支持者もいた。元飲食店店員のリサ・シンシアさん(61)は「移民が来る限り、不法な移民も入ってくる。不法移民は、あまりに多くの問題を起こす。最悪だ」と主張。記者は取材中、複数の支持者から指さされて「移民だ。外国人だ。ふざけるな」と罵声を浴びた。
[時事通信社]
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