政治空白、長期化か=総選挙から1週間―仏
【パリ時事】フランス総選挙の決選投票から14日で1週間。主要3陣営の左派、中道、極右はいずれも下院の過半数に届かず、マクロン大統領が大連立内閣の樹立を呼び掛けている。ただ、安定多数の確保どころか、政党間の対立が深まるばかりで、政治空白の長期化が懸念され始めた。
「勝者はいない。どの勢力も少数派だ」。マクロン氏は10日、幅広い政党が連立交渉で妥結するまで、次期首相を任命しない方針を表明した。1月に発足したアタル内閣が近く総辞職し、暫定内閣として当面の職務をこなしていく見込みだ。
選挙では、左派連合が最多議席を獲得し、マクロン氏の中道連合は第2勢力に後退。左派と中道の包囲網に阻まれた極右・国民連合(RN)は第3勢力に終わった。
中道は、最大勢力になった左派との「反極右」共闘を解消。社会党など左派連合の一部や、中道右派・共和党を取り込むことで多数派を形成する青写真を描く。
一方、陣営内の結束を強調する左派は、マクロン氏の大連立構想を「権力維持のたくらみだ」と非難。主要労組・労働総同盟(CGT)のビネ書記長は左派内閣実現に向け、抗議デモなどで「マクロン氏に圧力をかける必要がある」と訴える。
パリはデモやストが茶飯事で、交通機関のまひも珍しくない。政治の混乱が26日開幕のパリ五輪に影を落としている。
戦後のフランスは左右二大政党が対峙(たいじ)した時期が長く、大連立は異例。日頃から反目し合う各陣営は政権協議への戸惑いが隠せない。
仏公共放送は、総選挙のたびに長期間の連立交渉を行う隣国ベルギーを取材。首都ブリュッセルの市民は「とにかく辛抱。あきらめないことだ」とエールを送った。
[時事通信社]
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