大半の潜水士が不正受給=手口引き継ぎ、部隊ぐるみか―海自
海上自衛隊の潜水手当を巡る不正受給疑惑で、海自は潜水艦救難艦「ちはや」と「ちよだ」に所属する潜水士の大半が過大な手当を受け取り、部隊ぐるみで手口が引き継がれていたとみられることを明らかにした。海自は自衛隊の警察に当たる警務隊に告発し、他の艦の潜水士に同様の不正がなかったかも調べている。
海自によると、不正があったのは特殊な器具で深海に潜る「飽和潜水」の訓練に伴う手当。記録の残る2017年からの6年間で、2艦で総額約4300万円の水増し請求を確認した。過払い分の大半は既に返還させたという。
手当は潜った深さや時間に応じて支給するが、(1)架空の訓練実績(2)時間の水増し(3)深度の修正―の手法で過大に請求していた。訓練計画を立てる潜水員長が数字を決め、実績を記録する手当係も抱き込んで請求し、上司もチェックしなかった。大半の潜水士に過大な手当が出ていたが、全員が黙って受け取っていたという。
潜水員長が代わっても、こうした手口は引き継がれた可能性が高く、6年間では艦長交代で検査が厳しかったとみられる「ちはや」の1年間を除き、不正が常態化していた。それ以前から続いていたとする証言もあったという。最も多い隊員で過払いは1500時間分、約200万円に上った。
11人が懲戒免職、48人が10日~1年間の停職という潜水士の大量処分により、任務への影響も懸念される。海自は「支障がないよう最大限工夫する。訓練時間の管理の厳格化など、再発防止を徹底する」としている。
[時事通信社]
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