ライバル攻略の助けに=映像分析、コーチの武器にも―パリ五輪・柔道
パリ五輪でメダル量産を狙う柔道日本。階級が重くなるほど、海外勢の層は厚くなり、苦戦が予想される。そのような中、全日本柔道連盟の科学研究部が力を入れてきた映像分析は突破口を開くカギになるかもしれない。
男子90キロ級に出場する村尾三四郎(JESグループ)に立ちはだかるのは東京五輪金メダリストのラシャ・ベカウリ(ジョージア)。その分析は着々と進められてきた。技を掛けるときに道着のどこをつかむのか、試合の中で攻勢に出る時間帯や組み手を変えてくるタイミングはいつか、年間40~50試合の映像を集め、アナリストが研究する。
日本が映像分析を積極的に取り入れるようになったのは、男子の金メダルがゼロに終わった2012年ロンドン五輪後から。フランスなど欧州勢でも分析は以前から盛んだが、日本の強みは「アナリストが全員柔道経験者であること」と現場を統括する山本幸紀さんは語る。ライバルだけでなく、日本選手の弱点分析も行うことが、ここ最近の傾向でもある。
一方で分析結果を選手に見せることは少ない。情報を頭に入れてしまうことで「試合へ悪影響になる可能性がある。コーチだけが理解し、選手との関係性の中でアプローチしていく」と山本さん。村尾の階級を担当する小野卓志コーチも「試合は『生もの』なので頼らない。実際はかみ合わないときのほうが多い」と割り切る。それでも選手へ助言する際、「確証になるし、言葉の重みにもつながる」。自分が感じたことを伝えるとき、データが説得力を与えてくれることもある。
「成果に直結することがなくても、『これがあってよかった』とか、『これを聞いていたから』というのが、百あるうちの一あれば、僕らはそれでいい」と山本さん。黒子に徹し、活躍を見守る。
[時事通信社]
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