30年度、廃棄衣類5万トン活用=リサイクル繊維拡大へ目標―経産省会議
国内での衣料品の廃棄を減らすため、経済産業省の有識者会議は、不要となった衣類を原料とするリサイクル繊維の生産拡大に向けた目標を策定した。2030年度に廃棄衣類5万トンを使用し、リサイクル繊維を生産する体制を整える。低価格で流行を取り入れた「ファストファッション」の広がりで、衣類の大量生産に伴う廃棄が問題になっており、環境に配慮した「適量生産」の実現を目指す。
環境省の調査によると、22年に国内では衣類が新規に79.8万トン供給された一方、約6割の48.5万トンは再利用されずに廃棄される見込み。リサイクル業者が近隣にないなどで、人口ベースで約4割の自治体で衣料品の回収が行われていない。複数の素材を組み合わせた衣類のリサイクルが技術的に難しいことも背景にある。
このため、政府は自治体の優良事例やリサイクルなどを行う企業の情報を発信し、衣料品の回収に取り組む自治体などを増やす考えだ。また、衣服を素材ごとに分離する技術の確立に向け、国が継続して研究開発を支援する。
新目標では、これらの取り組みを通じ、30年度に5万トンの廃棄衣類を原料としたリサイクル繊維の生産体制の構築を目指す。家庭から出る衣類の廃棄量を20年度比25%削減することも掲げる。
欧州連合(EU)では、30年までに域内で販売される繊維製品について、リサイクル可能で再生繊維を大幅に使用したものにするとの目標を掲げている。経産省の担当者は「(規制に)対応できないと日本企業が市場から締め出される恐れがある」と危機感を示す。政府は目標策定を通じ、業界全体で規制に対応した資源循環の取り組みを加速させる。
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