出だし順調、課題山積み=強い期待感、責任重く―英首相就任1週間
【ロンドン時事】英総選挙で労働党が地滑り的勝利を収め、同党のスターマー首相が就任してから12日で1週間。強力な政権基盤を手に入れたスターマー氏は、公約の「国家再生」を進めるべく着々と態勢を整え、順調な滑り出しを見せた。ただ経済回復や生活改善など課題は山積みで、改革は待ったなしだ。
首相は9日、就任後初の議会演説で、前政権の混乱を念頭に「利己的に過ぎた政治を終わらせ、奉仕の政治に変える」と表明。「今こそページをめくり、国家再生のため団結しよう」と呼び掛けた。議会が人種やジェンダー面で史上最も多様化したことも強調し、政権交代による「変化」を国民に印象付けた。
女性初の財務相リーブズ氏ら実力者が閣僚にそろった新政府は発足早々、最重要課題の経済成長に向け、民間投資を促進する政府主導の基金を新設する計画を発表。外交面でも、首相が今週米ワシントンで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席、会談や会見を無難にこなして「国際デビュー」を果たした。新政権の出だしはひとまず順調と言える。
しかし、選挙では労働党への積極支持というより、保守党の失策が労働党の圧勝を招いた。それだけに国民を失望させればすぐ支持離れが起きる可能性もある。国民からは「公共サービス向上を」「物価高と生活危機を何とかして」と強い期待が寄せられており、新しい国造りを託されたスターマー氏の責任は重い。
[時事通信社]
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