重視する「心のケア」=日本選手団、SNS対策も―パリ五輪
パリ五輪では夏季大会の日本選手団として初めて、現地に「ウェルフェアオフィサー」と呼ばれる心のケアを行う4人の専門家が同行する。より良い環境づくりが目的で、医療部門の責任者を務める医師の土肥美智子副団長は、「最高のパフォーマンスが発揮できるようにサポートしたい」と頼もしい。
アスリートの心の健康を重視する国際オリンピック委員会(IOC)の方針を受け、日本オリンピック委員会(JOC)は2022年北京冬季五輪で初めて専門家1人を現地に派遣した。過去にもオンライン上などでケアは行っていたが、同行することで「選手がより気軽に声を掛けられる」と土肥氏は期待する。
ウェルフェアオフィサーは医務スタッフとともにパリなどの選手村に常駐し、心のトラブルに24時間体制で対応する。21年東京五輪では体操女子のスター、シモーン・バイルス(米国)が大会中に心の不調を訴えて話題になった。土肥氏は日本選手にも同様のケースが起こり得ると指摘。「本人の意思を尊重し、指導者やコーチと連携して対応したい」としている。
近年はネット上での選手に対する誹謗(ひぼう)中傷も問題になっている。ウェルフェアオフィサーの鈴木和馬氏は暴力やハラスメントに関するIOCの研修を受けており、パリではSNSの問題を担当。鈴木氏は「選手が安心して競技に集中できるような環境を提供し、事前に相談できる体制を整えることが大事」と話す。
SNS対策では、選手自身による不適切な投稿を防ぐことも重要だ。例えば、商品の広告であることを隠す「ステルスマーケティング(ステマ)」をしないよう、研修などを通じて注意喚起した。
競技の合間に息抜きができるよう、昨年の杭州アジア大会では選手村に専用スペースを設けて日本の書籍やミニゲームなどを置き、好評だった。大舞台に臨む選手たちが安心、安全に力を発揮できるよう、さまざまな方面から支えている。 (時事)
[時事通信社]
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