物価と景気、両リスク警戒=利下げ時期、明言せず―米FRB議長
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は9日、上院銀行委員会で金融政策に関し「高インフレだけが直面するリスクではない」と証言した。物価と景気の両リスクに目配りし、慎重に利下げ時期を探っていく考えを示した。
パウエル氏は利下げが早すぎればインフレが再燃し、遅すぎても不必要な景気と雇用の悪化をもたらすと警戒。経済指標や見通しの推移などを「慎重に精査し続ける」と語った。ただ、「将来的な行動のタイミングに関するシグナルは何も送らない」と述べ、利下げ時期は明言しなかった。
市場では、物価や雇用情勢の落ち着きを示す最近の指標を受け、FRBが9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切るとの観測が浮上している。
米国のインフレ率はピークから大きく低下したものの、FRBの物価目標である2%を依然上回って推移。今年に入り、インフレ鈍化は小幅な進展にとどまっている。FRBは政策金利を年5.25~5.50%の現行水準で維持することで景気を冷まし、物価安定を促す姿勢を示してきた。
パウエル氏は「インフレが2%の目標に向かって持続的に低下するとの確信をさらに得るまでは、利下げが適切とは思わない」と改めて強調。ただ、インフレ減速を示す指標がさらに続けば、「確信が強まる」との見方を明らかにした。
[時事通信社]
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