腹に響く爆発音、鋭い悲鳴=首都キーウにミサイル攻撃―ウクライナ
【キーウ時事】「ドーン、ドーン」。ウクライナの首都キーウで8日午前10時20分ごろ、腹に響く重たい爆発音が連続してとどろき、建物が揺れた。記者は当時、市中心部にある国連食糧農業機関(FAO)の事務所で取材中。地下シェルターに逃れた複数の女性職員から鋭い悲鳴が上がった。
9時52分、街頭に警報音が流れると同時に、スマートフォンの警報アプリが鳴りだした。音声と文字表示で「空襲警報が発令されました。シェルターに避難してください。事態を軽く見ないでください」。職員に導かれていったん地下1階の駐車場に移動したが、約30分後に警戒レベルが引き上げられた。毎日のように警報は出るものの、大きな被害は報告されていなかった。「いつもと何かが違う」。その場にいた職員らが顔を引きつらせ、一斉に安全なシェルターに移った直後にミサイルが降ってきた。
FAOの女性現地職員は「こんな大きな爆発はしばらくなかった。少なくとも今年は初めてだ」と青ざめた。ある職員は「6キロほど離れた子供クリニックにミサイルが落ちたらしい」と顔をゆがめた。
コンクリートで固められた地下シェルターにエアコンはなく、職員ですし詰め状態。それでも机に肩を寄せるようにして持ち込んだパソコンで仕事を続け、11時34分の警報解除とともに一斉にオフィスに戻っていった。キーウではその後も断続的に警報が発令され、爆発音も鳴り響いた。市民らはそのたびにシェルターと職場などの往復を余儀なくされた。スマホで情報収集していた女性は「これがウクライナの現実です」とつぶやいた。
ミサイル攻撃により、この日キーウで予定されていた日本政府と国際協力機構(JICA)による地雷除去機のウクライナ政府への引き渡し式が中止となった。9日以降に実施したいというが、めどは立っていない。
[時事通信社]
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