「公正な大統領選」危ぶむ声=現職劣勢で野党弾圧強まる―ベネズエラ
【サンパウロ時事】28日投開票の南米ベネズエラ大統領選は4日、3週間にわたる選挙戦に突入した。3期目を目指すマドゥロ大統領(61)の劣勢も伝えられる中、反米左派政権は野党弾圧など強権姿勢を強めている。与野党が合意した公正な選挙の実現が危ぶまれ、国際社会から懸念の声が上がっている。
2018年の前回選挙は野党陣営がボイコット。与野党候補の本格対決となる大統領選の構図は、故チャベス大統領の後継としてマドゥロ氏が初当選した13年以来だ。
与野党は昨年10月の「バルバドス合意」を通じ、自由で公正な大統領選を約束した。合意直後に米国が対ベネズエラ経済制裁を一部緩和。同12月には両国が囚人を交換するなど、選挙に向け緊張緩和ムードが広がった。
しかし政権側は、主要野党が統一候補を選ぶ予備選で圧倒的な支持を得た野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏(56)の出馬を阻止。代わりに出馬した元外交官のエドムンド・ゴンサレス氏(74)が優勢との世論調査結果が相次ぐと、野党陣営への摘発を強化した。欧州連合(EU)選挙監視団の受け入れも撤回した。
こうした状況に国際社会は警戒感を強めている。ターク国連人権高等弁務官は今月、ジャーナリストや市民団体関係者らへの嫌がらせや脅迫の増加など、「市民の空間」に対する制限が広がっていると懸念を表明。6月に開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、首脳声明で「バルバドス合意の全面的履行」を求めた。
マドゥロ政権は3日、米国と対話を実施。大統領選も議題になり、国際社会の声に耳を傾ける柔軟姿勢を示した。シンクタンク「米平和研究所」は「選挙に敗北しても受け入れることが、マドゥロ氏の利益」と分析するが、政権側が結果を素直に認めるか懐疑的な見方が根強い。
[時事通信社]
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