対日交渉、年内妥結に意欲=復興へ投資協定改定期待―電力不足、成長下押し・ウクライナ第1副首相
【キーウ時事】ロシアの侵攻が続くウクライナのスビリデンコ第1副首相兼経済相は3日、インタビューに応じ、日本と進めている投資協定の改定交渉について「年内に終える野心的な目標がある」と語った。投資環境の改善を急ぎ、経済復興の弾みにしたい考えだ。
ロシア侵攻後の日本の支援に謝意を表明。民間投資を促進するため、日ウクライナ投資協定の改定交渉に関し、早期妥結を目指すと明言した。両国政府は2月、東京で開いた経済復興推進会議で交渉入りに合意した。ウクライナ政府によると、両国の進出企業の税負担を軽減する新租税条約は来年1月に発効する見通しという。
また、ロシアによる発電所攻撃に伴う深刻な電力不足で、今年の経済成長率見通しが4.5%から「少なくとも3.5~3.6%」に下振れすると明らかにした。
スビリデンコ氏は、国内発電能力の半分が失われ、冬場の市民生活や経済活動への打撃は不可避との認識を表明。電力不足は「われわれが直面している最大の課題だ」と危機感を訴えた。
その上で「喪失した発電能力の少なくとも半分を暖房シーズン前に復旧させる」と説明した。6月のイタリア先進7カ国首脳会議(G7サミット)で合意した、ロシアの凍結資産を使ったウクライナへの融資などを活用。インフラ復旧やIT、ドローン技術などの強化を図り、経済を支えると語った。
スビリデンコ氏はまた、日本と自由貿易協定(FTA)を結ぶ可能性について「興味はあるが長い道のりになるかもしれない」と、欧州連合(EU)加盟交渉を優先する考えを示した。ただ、ウクライナ政府は昨年、日本が主導する環太平洋連携協定(TPP)に加入を申請しており、参加国と結び付きを強める考えだ。
一方、ロシアとの戦争は女性を取り巻く環境に影響を与えたと述べ、経済成長を続けるために「女性の役割を再認識すべきだ」と強調。男女給与格差の是正や女性の社会進出促進に取り組んでいると訴えた。
[時事通信社]
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