岸田首相、首脳外交で活路探る=米独訪問皮切り、浮揚見えず
岸田文雄首相(自民党総裁)は来週の米国、ドイツ訪問を皮切りに、外交日程に重点的に取り組む。9月に想定される党総裁選を見据え、得意とする外交で成果を示して政権の立て直しにつなげたいとの思惑もあるが、見通しは明るくない。
米独訪問は10~14日の予定。米ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に3年連続で出席。その後、ドイツのベルリンに移動し、ショルツ首相と会談する。
首相は3日の政府・与党連絡会議で、「日NATO協力、日独の連携を強化し、現下の国際情勢への対応について万全の布石を打っていく」と強調した。ロシアの侵攻が続くウクライナを引き続き支援する姿勢を示すとともに、中国と北朝鮮の動向を踏まえ、インド太平洋地域も警戒するよう欧州各国に訴える意向だ。
帰国後の16~18日には、中国が進出を強める太平洋島しょ国・地域の首脳らを東京に招く「太平洋・島サミット」を開く。気候変動対策など島しょ国に寄り添った支援を打ち出す見通しだ。
8月も外交日程が続く。カザフスタンで中央アジア5カ国首脳との会合を初めて開催。モンゴル訪問も調整中だ。
岸田内閣の支持率は低迷を続ける。首相が外交に積極的に取り組む背景として、昨年3月の日韓関係改善とウクライナの首都キーウ電撃訪問、同5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を経て、支持率が一時的に回復した「成功体験」を持つことが指摘される。
ただ、「政治とカネ」の問題は尾を引き、自民党内では「ポスト岸田」を見越した動きが活発化。首相の思惑通りに事が運ぶかは不透明だ。首相周辺からも「9月の国連総会には新しい首相が行くかもしれない」と、政権の先行きに悲観的な見方が出てきた。
[時事通信社]
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