2024-07-03 15:15社会

裁判長期化、原告6人死亡=60~90代の高齢者多く―強制不妊訴訟

旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る国家賠償訴訟の上告審判決で、傍聴券を求めて並ぶ人たち=3日、東京都千代田区

 旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る訴訟は、39人の原告によって全国12地裁・支部に起こされた。国は徹底抗戦の姿勢で、審理は長期化。60~90代の高齢原告が多く、提訴後に6人が亡くなった。最高裁で5月に開かれた弁論では「早く、全ての被害者が救われる判決を」との声も上がっていた。
 原告側弁護団によると、兵庫県の高尾辰夫さん(仮名)は2020年に死亡。聴覚障害があった高尾さんは生前、「裁判所に国が間違っていたとはっきり認めてほしい」と訴えていた。
 同県在住だった小林喜美子さんも聴覚障害を抱え、22年に亡くなった。訴訟では「私の体を元に戻してほしい」と手話で陳述していたという。大阪高裁が原告側勝訴を言い渡したのは2人が他界した後の23年3月だった。
 熊本県の渡辺数美さんは幼い時に変形性関節症を患い、10歳ごろに手術を受けさせられた。熊本地裁が国に賠償を命じた23年1月には、「生きてきてよかったと初めて思えた」と喜びを口にしたが、国は控訴。訴訟継続中の今年2月に自宅で独り亡くなったという。
 「悔しい。この怒りが収まらない」と話していた聴覚障害者の朝倉彰さん(仮名)も21年に死亡。福岡地裁は今年5月に原告側勝訴の判決を出した。
 北海道の原告夫婦は、夫が19年に死亡。札幌地裁は21年、妻が不妊手術を受けたとは認められないとして請求を棄却し、高裁も23年に訴えを退けた。仙台地裁に提訴した知的障害のある女性は20年に亡くなり、訴訟は取り下げられた。 
[時事通信社]

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