裁判長期化、原告6人死亡=60~90代の高齢者多く―強制不妊訴訟
旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る訴訟は、39人の原告によって全国12地裁・支部に起こされた。国は徹底抗戦の姿勢で、審理は長期化。60~90代の高齢原告が多く、提訴後に6人が亡くなった。最高裁で5月に開かれた弁論では「早く、全ての被害者が救われる判決を」との声も上がっていた。
原告側弁護団によると、兵庫県の高尾辰夫さん(仮名)は2020年に死亡。聴覚障害があった高尾さんは生前、「裁判所に国が間違っていたとはっきり認めてほしい」と訴えていた。
同県在住だった小林喜美子さんも聴覚障害を抱え、22年に亡くなった。訴訟では「私の体を元に戻してほしい」と手話で陳述していたという。大阪高裁が原告側勝訴を言い渡したのは2人が他界した後の23年3月だった。
熊本県の渡辺数美さんは幼い時に変形性関節症を患い、10歳ごろに手術を受けさせられた。熊本地裁が国に賠償を命じた23年1月には、「生きてきてよかったと初めて思えた」と喜びを口にしたが、国は控訴。訴訟継続中の今年2月に自宅で独り亡くなったという。
「悔しい。この怒りが収まらない」と話していた聴覚障害者の朝倉彰さん(仮名)も21年に死亡。福岡地裁は今年5月に原告側勝訴の判決を出した。
北海道の原告夫婦は、夫が19年に死亡。札幌地裁は21年、妻が不妊手術を受けたとは認められないとして請求を棄却し、高裁も23年に訴えを退けた。仙台地裁に提訴した知的障害のある女性は20年に亡くなり、訴訟は取り下げられた。
[時事通信社]
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