石化事業、再編の動き=設備集約へ、中国の増産で―化学大手
化学メーカー大手が、プラスチックやゴムの原料を生産する石油化学事業の再編に動いている。少子化による内需の不振に加え、石化製品の国産化にかじを切った中国の増産で市況が低迷したからだ。国内外ともに需要の減少が見込まれる中、石化コンビナートの中核であるエチレン生産設備の集約に向けたメーカー同士の連携などが進んでいる。
石油化学工業協会によると、国内のエチレン生産設備の稼働率は、好不況の目安とされる90%を2022年8月から22カ月連続で下回る。過剰設備を抱える石化事業が各社の収益を圧迫する中、生産体制の適正化は喫緊の課題だ。
大分市にエチレン設備を持つレゾナック・ホールディングス(旧昭和電工)は24年2月、石化事業を分離・上場させる方針を打ち出した。24年中に詳細を公表するという。三井化学は3月、千葉県の京葉工業地区で出光興産と共同運営する生産設備2基について、27年度をめどに出光側の設備を停止し、三井化に集約する検討を開始すると発表した。
三菱ケミカルと旭化成、三井化の3社は5月、岡山県の水島地区と大阪府高石市でそれぞれ運営する生産設備について、生産適正化を見据えた協業を発表。脱炭素化を含めた具体的な方策を共同で検討している。三菱ケミカルの親会社である三菱ケミカルグループの筑本学社長は「基礎化学品を扱うメーカーが同じ方向を向いている」と強調する。
再編の動きは以前もあった。三菱ケミカルは14年に茨城県のエチレン設備1基を停止し、16年には旭化成と岡山県での設備を一体化した。住友化学は15年に千葉県市原市の設備を停止した。
中国の生産増強などで今回再編の機運が改めて盛り上がった格好だ。三井化の伊沢一雅専務執行役員は「中国の影響が一番大きい。一過性の問題ではなく、他社との連携が必要だ」と話す。
みずほ銀行産業調査部は「グローバル全体で、中国が化学品を大量に輸入するという産業構造が転換する時期で、輸出前提のビジネスモデルを見直す必要が出ている」と指摘している。
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