中間貯蔵開始へ大詰め=「永久施設」懸念根強く―青森
原発から出る使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設が、事業開始に向けて大詰めの段階を迎えている。全国の原発などにある保管プールは、既に容量の8割超が埋まっている。原発敷地外に設置される国内初の中間貯蔵施設は、国の「核燃料サイクル」の一端も担うが、地元には「永久貯蔵施設」になるとの懸念も根強い。
「『中間貯蔵』とは名ばかりだ。『10万年貯蔵』の始まりと捉えている」。6月16日に青森市で開かれた反対集会で、主催者の一人は集まった約130人に訴えた。
中間貯蔵施設は、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が出資するリサイクル燃料貯蔵(むつ市)が運営。東電と原電の原発から出る計5000トンの使用済み燃料を、金属製容器(キャスク)に入れて最長50年間貯蔵する。東電柏崎刈羽原発(新潟県)から最初のキャスクを運び込み、9月までの事業開始を予定している。
操業には自治体と事業者が安全協定を結ぶことが必要となる。安全性に関しては「原子力施設ではなく単なる倉庫」(県議)として容認する声が多いが、50年後の搬出先はあいまいなままで、「絶対に永久貯蔵にはならないのか」(むつ市議)との疑念を生んでいる。
国はこれまで「搬出時に稼働している再処理工場で処理する」と説明してきた。ただ、青森県六ケ所村の再処理工場は26回も完成延期を繰り返し、他の再処理施設は計画すらない。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分場も決まっておらず、「詐欺だ」(別の県議)との声もある。
県が7月2日に青森市で開いた県民説明会でも、搬出先への懸念が多く寄せられた。宮下宗一郎知事は説明会後の取材に、「県民からの重要な論点の提示であり、しっかり受け止めたい」と指摘。むつ市が市内3カ所で開く説明会も踏まえ、今月以降に安全協定締結の是非を最終判断する見通しだが、住民の理解を得られるかは不透明だ。
[時事通信社]
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