被災地、熱中症警戒=真夏日記録し対策急務―仮設の見回り開始・能登地震半年
能登半島地震の被災地では、今月中旬に真夏日を記録。気温上昇による熱中症が懸念され、高齢者が多い仮設住宅では見回りなどの取り組みも始まった。能登地震は7月1日で発生半年。本格的な夏を前に専門家は「細心の注意を払わなければいけない」と対策を急ぐよう求めた。
気象庁によると、石川県珠洲市と輪島市では6月12日、それぞれ最高気温が31.1度と32.7度の真夏日となった。その後も22日まで25度以上の夏日が続いた。
珠洲市では、市社会福祉協議会の職員が仮設住宅を回り、熱中症対策を呼び掛けている。同協議会の角井栄美さん(39)らは18日、全26戸が並ぶ仮設住宅を訪れ、住民に水のペットボトルなどを配布。受け取った80代女性は「水を飲んで気を付けたい」と応じた。
角井さんは「仮設住宅は室内に熱がこもりやすい。熱中症になって倒れてしまわないか心配だ」と表情を曇らせる。
輪島市でも同じ取り組みが始まった。28.4度を記録した19日、市から委託されたボランティア団体が門前地区の仮設住宅を訪問。水やタオルなどの物資を渡しながら、エアコンを使用しているかどうかなどを確認した。
入居者の多くは「エアコンを使っているので大丈夫」(90代女性)、「水分補給は小まめにしている」(70代男性)と対策を取っていたが、「夫が冷房の風を嫌がるので扇風機を使っている」(70代女性)、「エアコンは普段から年に何回かしか使わない。まだ大丈夫だ」(80代女性)と話す人もいた。
北陸学院大の田中純一教授(災害社会学)は「奥能登の仮設住宅では65歳以上の入居者が多い。電気料金は自己負担なので、出費を抑えるためにエアコンの使用を控える人も多い」と指摘。「冷房を利かせた集会所を開放して集まってもらう方法もある。隣同士やボランティア、行政など地域全体で住人の異変に気付ける仕組み作りが必要だ」と話した。
[時事通信社]
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