河野氏、自民総裁選へ精彩欠く=麻生・菅氏の板挟みか
9月に想定される自民党総裁選に向け、「ポスト岸田」候補の一人と目される河野太郎デジタル相が精彩を欠いている。派閥裏金事件を受けて党内で「脱派閥」の流れが加速する中、河野氏は麻生派にとどまったままだ。同派の存続を目指す会長の麻生太郎副総裁の支援を期待しているとみられるが、結果として「改革派」の看板は色あせ、総裁選への戦略は描き切れていない。
河野氏は26日夜、麻生氏と東京都内の日本料理店で会談した。党内では総裁選への対応について意見交換したとの見方が出ている。
河野氏が総裁選に初挑戦したのは2009年。以来、次世代のリーダーと目され、外相、防衛相などを歴任してきた。4人が争った21年の総裁選では決選投票に残り、岸田文雄首相と競り合った。この総裁選後にはインターネット番組で、次回に向け「乞うご期待」と語っていた。
その河野氏の存在感がかすみがちになったのは裏金事件がきっかけだ。無派閥で長年活動してきた菅義偉前首相が1月、信頼回復に向けて「派閥解消」を提唱。これを受け、党内には派閥解散の動きが広がり、派閥から離脱する議員も相次いだが、河野氏は煮え切らない対応を取り続けた。
所属する麻生派を率いる麻生氏は、党内6派閥の領袖(りょうしゅう)で唯一、派の存続を決断した。党内基盤が弱い河野氏は麻生氏の後押しを期待しているとみられ、河野氏に近い議員は「本人に派閥を抜ける考えはない」と断言する。
一方、その選択は河野氏を陰に陽に引き立ててきた菅氏の不興を買う結果となっている。菅氏は23日の文芸春秋のオンライン番組で「(河野氏が首相になる)可能性はある」としつつ、河野氏の麻生派残留についてはコメントを避けた。周辺には「彼ははっきりしない」と不満を漏らしているという。
河野氏に対しては、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を巡り「強引すぎる」との世論の批判もくすぶる。その結果、「次の首相」を尋ねる報道各社の最近の世論調査では、ともに「小石河連合」と呼ばれた石破茂元幹事長と小泉進次郎元環境相に水をあけられている。
河野氏は61歳。総裁選では小泉氏に加え、小林鷹之前経済安全保障担当相らの名前も取り沙汰され、世代交代の波も押し寄せる。河野氏は21日の記者会見で、総裁選について「必要に応じて必要な対応をしていく」と述べるにとどめた。
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