岸田首相への退陣要求噴出=菅氏言及、影響拡大も―自民
9月の自民党総裁選に向け、同党内から岸田文雄首相(党総裁)への退陣要求が噴出した。派閥裏金事件を巡り地元で厳しい批判にさらされる若手が口火を切り、非主流派のキーパーソンと目される菅義偉前首相が事実上の退陣論をぶち上げた。次期衆院選への危機感が党を覆っており、今後、退陣論が拡大する可能性もある。
菅氏は23日夜の文芸春秋のオンライン番組で、裏金事件に触れ「首相が責任を取っていない。そのことに対する不信感は国民に結構多い」と首相の政権運営を批判。「総裁選で新たなリーダーが出てくるべきか」と問われると、「そう思う。国民に党刷新の考え方を理解してもらう最高の機会だ」と語り、首相交代に期待を示した。
菅氏は「(衆院選は)与党で過半数を割るような雰囲気がある」と述べ、刷新感を出さなければ政権交代につながりかねないと危機感を示した。
退陣要求が表面化したのはここ10日ほどだ。麻生派の斎藤洋明元総務政務官が16日に「リーダーの責任も大いに議論されるべきだ」と先陣を切り、22日には茂木派の東国幹衆院議員が「首相はゆめゆめ再選などと軽々しく口にせず、橋渡し役を担ってほしい」と訴えた。
そうした中で飛び出した菅氏の発言は、党内で重く受け止められている。菅氏は番組で、誰を推すか明言を避けつつも、石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相ら「ポスト岸田」候補を「期待できる」などと次々と持ち上げてみせた。菅氏の「意中の候補」は非主流派の結集軸になり得ると目されており、無派閥中堅は「いよいよ総裁選が始まった」と語った。
菅氏と首相には因縁がある。菅氏が再選を目指した2021年の総裁選では、首相が他に先駆けて出馬を表明。二階俊博幹事長(当時)を念頭に党役員任期の制限を打ち出し、党内の期待を受けて菅氏を不出馬に追い込んだ経緯がある。党関係者は「菅氏は首相に自分と同じ決断を求めている」との見方を示した。
岸田派内には「菅氏に求心力があるのか」(幹部)との楽観論もあるが、首相周辺は「『反岸田』ののろしだ」と身構える。閣僚の一人は「岸田降ろし」を念頭に「流れが弱まることはもうない」と言い切った。首相は24日、前回総裁選で選対本部長を務めた遠藤利明前総務会長と首相官邸で会談した。党内情勢について意見交換したとみられる。
[時事通信社]
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