日本を再び「監視対象」に=介入、問題視せず―米為替報告
【ワシントン時事】米財務省は20日、主要貿易相手国・地域の通貨政策を分析した為替報告書を公表した。多額の対米貿易黒字や経常黒字を抱える日本を再び「監視対象」に指定した。ただ、為替介入については、毎月実績を公表しており「透明性がある」として、問題視しない姿勢を示した。
米当局者は記者団に対し、日本政府・日銀が4~5月に実施した円買い・ドル売り介入について、輸出を有利にする自国通貨安への誘導ではなく、米国が懸念する「非競争的な行為」ではないと指摘。「監視対象」への再指定の理由ではないと明言した。
為替報告は、日本が多額の対米貿易黒字を抱えているほか、昨年の経常黒字の対国内総生産(GDP)比が拡大したと説明。一方で、為替介入については「極めて例外的な状況に限り、適切な協議を踏まえて実施されるべきだ」との認識を改めて示した。
「監視対象」は日本のほか、中国、台湾、ベトナム、ドイツなど計7カ国・地域。中国に対しては、経常収支のデータが通関記録や市場の動向と一致しないとして、明確な説明を求めた。厳しい制裁を発動できる「為替操作国」に認定した国・地域はなかった。
為替報告は、巨額の対米貿易黒字、大幅な経常黒字、一方的で継続的な為替市場介入―の三つの基準に抵触しているかを評価。このうち二つに該当すると、監視対象国に認定できる。報告は原則として年2回、議会に提出される。
日本は国・地域の指定が始まった2016年以降に「監視対象」となっていたが、昨年6月の報告で初めて除外され、同年11月も指定を見送られていた。
[時事通信社]
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