通称利用、海外でトラブルに=国内では一般化も―経団連調査
戸籍上の夫婦別姓を認めていない日本では、女性が結婚後も旧姓を使い続ける、いわゆる通称の利用が一般化している。しかし、ビジネスの現場では海外渡航時にトラブルの原因となることも多いほか、働く女性のキャリアに悪影響を及ぼすケースも増えている。
経団連が会員企業の女性役員を対象に5月に実施したアンケート調査(139人が回答、回答率48%)では、役職員の通称利用を認めている企業は96%に上った。しかし、旧姓の通称利用が可能な場合でも、88%の人が「何らかの不便さ、不都合、不利益が生じる」と回答した。
特に問題が多いのは、出張などの海外渡航時だ。調査では、パスポートなどの登録名と予約に使った通称が一致せず、ホテルのチェックイン時にトラブルとなったケースは26人。同様の理由で公的施設の入館時にトラブルとなったケースも19人いた。また、希望していた金融機関で、通称で口座やクレジットカードが作れなかったと26人が回答した。
調査に協力した女性役員からは、「旧姓で出したリポートなどの実績の連続性が断たれる」など、キャリアへの影響を懸念する回答も寄せられ、経団連は「もはや個人の問題ではない」(ソーシャル・コミュニケーション本部)と指摘している。
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