対ロ圧力回避へ予防線=目標達成まで侵攻継続―プーチン政権
ロシアのプーチン政権は、スイスで開かれたウクライナ主導の和平案を巡る「平和サミット」を契機に対ロ外交圧力が強まることがないよう、予防線を張った。ペスコフ大統領報道官は16日放送の国営テレビで、ウクライナとの交渉は「戦場の現実」が基礎だとの立場を表明。ロシアの軍事的優勢を踏まえ、目標達成まで侵攻をやめない考えを示した。
プーチン大統領は平和サミット開幕前日の14日に演説し、ウクライナ軍の東・南部4州からの撤退などを条件とする独自の「和平案」を一方的に提示。交渉のハードルを引き上げた。
ペスコフ氏は「交渉を拒否していない」と主張するが、ウクライナのゼレンスキー大統領は「(降伏を迫る)最後通告」だと反発した。米シンクタンク戦争研究所は15日、プーチン氏の提案について、平和サミットを混乱させる「情報作戦」だと指摘した。
さらに、プーチン氏は最近、戒厳令を理由に大統領選を延期したゼレンスキー氏に関し、本来の任期が満了した5月20日をもって「正統性を失った」と持論を展開。ペスコフ氏も「(法的に)合意を交わせる相手ではない」と改めて強調し、平和サミットの無効化を試みた。
平和サミットでは、ロシアに融和的な新興国の多くが共同声明への署名を拒否するなどした。プーチン政権にとって一定の「成果」と言える。
ロシア軍は目下、ウクライナ北東部ハリコフ州の国境地帯を占領すべく地上侵攻を強化。ウクライナが死守していた東部ドネツク州の防衛線も切り崩している。ペスコフ氏は、ウクライナ軍がロシア西部ベルゴロド州への砲撃をやめるまで「(ハリコフ州に対する)作戦は続く」と警告した。
[時事通信社]
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