岸田首相の求心力低下、苦境鮮明に=政治改革・減税も低評価―時事世論調査
岸田文雄首相の求心力低下に歯止めがかからない。時事通信の6月の世論調査で内閣支持率が16.4%に落ち込み、2012年の第2次安倍政権発足後の最低を更新した。自民党の派閥裏金事件への根強い批判に加え、期待した定額減税の浮揚効果も肩透かしとなった。通常国会閉会後の内閣改造論も一部で浮上するが、閣内ですら「立て直しは困難」と悲観論が出ており、苦境が鮮明になっている。
「諸課題に全力で取り組み、結果を出したい」。林芳正官房長官は13日の記者会見で支持率回復への取り組みを問われ、こう述べるにとどめた。裏を返せば具体策を欠く現状を認めたとも言える。
政権内には、23日に会期末を迎える今国会で政治資金規正法改正を実現し、今月始まった定額減税による物価高対策で支持を回復させて衆院解散・総選挙に打って出るシナリオもあった。
だが政治改革と定額減税のいずれも世論調査で厳しい評価が下った。自民の元衆院議員は、街頭活動で裏金事件への逆風を肌で感じると話し、「ビラも受け取ってもらえない」とこぼした。
首相は今国会中の衆院解散を見送る方向で、9月の任期満了に伴う党総裁選での再選戦略は練り直しを迫られている。解散権を事実上封じられる中、苦肉の策として取り沙汰されるのが内閣改造・党役員人事だ。
しかし支持率の最低更新を受け、自民有力者からは「規正法改正で首相が指導力を発揮しない結果だ。人事をしても変わらない」「もはや事態は相当深刻だ」と見切りを付けるかのような声が続出。仮に人事を打診して辞退者が相次げば、落ち目の政権が一気に窮地に追い込まれかねない。
自民幹部は「総裁選では若手を含め人材豊富だとの見せ場をつくらないといけない」と述べ、「ポスト岸田」を前提に党刷新の必要性を強調。「命運は尽きつつある。後はタイミングの問題かもしれない」。自民関係者は退陣の可能性に言及した。
[時事通信社]
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