値上げで黒字化、達成なるか=試算に疑問の声も―日本郵便
日本郵便は13日、10月1日に郵便物の大半の料金を原則として3割引き上げると発表した。消費税増税以外で、封書とはがきを含む大規模な値上げを行うのは1994年以来30年ぶり。同社は一斉値上げで郵便収支を2025年度に黒字化する道筋を描くが、その前提となった試算には疑問の声も寄せられる。
値上げの背景にあるのは、デジタル化の拡大に伴う郵便物の減少だ。23年度の国内郵便物は約136億通。ピークの01年度から22年連続で減り、ほぼ半数となった。郵便事業収支は、22年度に民営化後初の赤字となる211億円の営業損失を計上した。
日本郵便は本格値上げに踏み切ることで、25年度の収支を67億円の黒字に押し上げる計画だ。前提となる同年度の郵便物数は23年度比8.9%減の約124億通。減少率のうち2.3ポイント分が値上げによるものと試算している。しかし、総務省の意見公募では、試算を上回る減少を予想する声が出ている。
日本通信販売協会は「引き上げ幅が大きいため、郵便の利用を削減してデジタル化を進めるとの声が多数上がっている」と訴えた。値上げを認めた同省の審議会の委員の1人も「国がデジタル化の旗を振れば、想定以上に減る可能性はある」と指摘する。
今回の値上げでは、SNSの普及により発行枚数の減少が続く年賀はがきの料金も3割上がる。年に一度、心を込めて近況を伝える年賀状の風習さえも、存続が危ぶまれる事態になる恐れもある。
[時事通信社]
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