保護司の安全確保策強化へ=担い手不足拍車に危機感―法務省
大津市で保護司の男性が殺害された事件を受け、法務省は保護司の安全確保策を強化する方針だ。保護司制度見直しに関する有識者検討会の議題に追加し、27日の次回会合で議論を始める。不安を払拭できなければ、深刻な担い手不足に拍車が掛かりかねないと危機感を強めている。
事件では男性が担当していた保護観察中の無職の男が滋賀県警に逮捕された。小泉龍司法相は11日の記者会見で「全国の保護司の方々が不安な気持ちを抱えていると思う。安心して活動できる環境を整備することが重要な課題だ」と語った。
保護司は保護観察の対象者と定期的に面会し、立ち直りを支援する民間のボランティアだ。法相から委嘱された非常勤の国家公務員の身分を持つ一方、給与は支給されない。2023年1月時点で約4万7000人が活動するが、保護司法が定める5万2500人の定数に届いていない。約8割が60歳以上で、高齢化も課題となっている。
法務省は昨年5月、担い手確保に向けて有識者検討会を設置。待遇などの見直しを協議し、公募制導入を盛り込んだ中間報告を今年3月に発表したばかりだった。保護司が保護観察対象だった人物に殺害されたケースは1964年にあったが、保護観察中は例がなく、同省幹部は「善意に支えられた制度が揺らぎかねない」と焦りを強める。
法務省は10日、緊急の対応として、保護司と保護観察対象者の関係を総点検するよう全国の保護観察所に通知。必要に応じて(1)保護観察官の直接指導に変更(2)通常1人の担当保護司を複数指名―などの対応を取るよう求めた。また、有識者検討会の議題に安全確保策を加え、10月にまとめる最終報告に盛り込む方針だ。
さらに最終報告までの暫定的な安全確保措置を今夏にも講じる。小泉法相は11日の参院法務委員会で「まず1~2カ月のうちに当面の措置を出す。それを掘り下げ、秋にしっかりとした対応策を出したい」と語った。
[時事通信社]
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