「ポスト岸田」候補、菅氏思案=自民・石破、小泉氏軸か
9月の任期満了に伴う自民党総裁選では、菅義偉前首相の対応が焦点の一つだ。岸田文雄首相と一定の距離を置く菅氏が推す候補は非主流派を中心とする勢力の結集軸になり得るためだ。裏金事件で自民に逆風が吹く中、菅氏は「党を生まれ変わらせること」を条件に思案を重ねているとみられる。
菅氏は8日、鹿児島市内で開かれた党県連大会で講演し、自身が出馬した2020年の党総裁選について、「不妊治療の保険適用を公約に掲げた」と振り返った。一方、次期総裁選には言及しなかった。
菅氏が「ポスト岸田」候補と見ているのは石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相ら。石破氏については、時の首相への批判も辞さない姿勢を以前から高く評価し、菅政権時には要職への起用を検討したこともあった。政権中枢から離れて長いが、世論調査の「次の首相」では上位の常連だ。次期衆院選に加えて、来年夏には参院選が控え、菅氏は「石破氏にとって最大のチャンス」と周囲に語る。
小泉氏は、「将来の総裁候補」として早くから目をかけてきた。6日には萩生田光一前政調会長、加藤勝信元官房長官らとの会合に招いた。菅氏周辺は「小泉氏も選択肢に加わった」と見る。ただ、現在43歳で要職での経験が十分とは言えず、「今回立候補させるべきなのか」と思いあぐねているという。
複数の関係者によると、女性初の総裁候補として注目される上川陽子外相や、安倍政権で共に要職を務めた加藤氏も念頭にある。
一方、河野太郎デジタル相とは最近、関係が微妙になりつつある。菅氏が重視するマイナンバーの利活用は進んでおらず、裏金問題で複数の派閥が解散を決めても河野氏が麻生派にとどまっていることが背景にある。菅氏は「なぜ派閥を抜けないんだ」と漏らしているという。
菅氏は意中の候補について、「まだ決めていない」と周囲に語る。菅氏と親しい議員は「ぎりぎりまで明らかにしないだろう」との見方を示した。
[時事通信社]
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