追加利下げ、慎重姿勢崩さず=「データ次第」強調、焦点は9月―ECB
【ロンドン時事】欧州中央銀行(ECB)は6日の定例理事会で、0.25%の利下げを決めた。利下げに前向きな政策当局者による6月実施への地ならしを無視できず、市場との約束を守った格好だ。市場は9月会合での追加利下げを視野に入れるが、ラガルド総裁はデータ次第で判断するとの考えを再三強調するなど、慎重姿勢に終始した。
利下げの決定は、理事1人が反対したものの、ほぼ全会一致。「想定外のことがなければ、利下げを6月会合で決める」(ビルロワドガロー・フランス中銀総裁)など、理事会メンバーの多くが会合前に利下げが適切との認識を示していた。
ユーロ圏の消費者物価指数の伸び率は、ECBが最後に利上げした昨年9月会合時点で5%を上回っていたが、足元では2%台半ばに鈍化した。こうした背景を踏まえ、ラガルド総裁は「インフレ見通しが著しく改善した」と評価。サービス価格の高止まりについては、主因となっている賃金の伸びが「年内は緩やかになることが先行指標で示されている」とし、利下げの正当性を強調した。
ただ、ECBは前回会合で盛り込んだ利下げの可能性を示唆する「現在の金融引き締めの水準を引き下げることが適切」との文言を今回の声明から削除。「インフレが収束過程を歩んでいることを常に確認するため、データ分析が必要だ」(ラガルド総裁)として、追加利下げの可否を慎重に見極める考えだ。
ECBの姿勢を受けて、市場関係者は「次回7月会合での追加利下げの可能性は低い」(大和総研ロンドンリサーチセンターの橋本政彦シニアエコノミスト)との見方を強めている。7月会合は、次々回となる9月会合での利下げの可能性を探る場になりそうだ。
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