2024-06-05 19:03社会

「最悪パターン」怒りあらわ=再審請求棄却で弁護団―飯塚事件

飯塚事件の再審請求が棄却され、記者会見する徳田靖之弁護士(右)。左は岩田務弁護士=5日午前、福岡市中央区

 1992年に福岡県飯塚市の女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が執行された久間三千年元死刑囚=執行時(70)=の再審請求が退けられたのを受け、弁護団は5日、福岡市内で記者会見し、「最悪のパターンだ」と怒りをあらわにした。
 今回の再審請求審では、女児2人が連れ去られたとされる飯塚市の現場で2人を見たと話した女性が「見たのは別の日」と過去の証言を翻した。弁護団は、遺体の遺棄時間と近い時間帯に飯塚市内で車に女児2人を乗せて走る男を見たとの男性の証言も提出。しかし、福岡地裁はこれらの新証言を「信用できない」とした。
 弁護団の徳田靖之弁護士は会見で、久間元死刑囚の刑が既に執行されていることに触れ、「再審を開始するとわが国の死刑制度の根幹を揺るがしかねない。そういう思惑に縛られて貴重な証言の価値を認めようとしなかった」と指摘。地裁の判断を「最悪のパターン」と非難した。
 弁護側提出の新証言を巡り、地裁が新たな証拠を開示するよう勧告したのに福岡地検が応じなかったことなども挙げ、「(再審請求審で)証拠開示の規定がないという抜け穴を検察官が利用し、裁判所が目をつぶった」と訴えた。
 再審請求が棄却されたことが裁判所前で待つ支援者らに伝えられたのは5日午前10時すぎ。支援者らは「不当決定」と記した紙を掲げ、落胆の色を隠せなかった。 
[時事通信社]

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