妻の就労継続、1.7億円の差に=生涯世帯所得を試算―政府PT
政府は5日、「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム(PT)」(座長・矢田稚子首相補佐官)の会合を首相官邸で開き、妻が出産後に就労を継続した場合と、退職して再就職しないケースを比べると、世帯の生涯可処分所得に1億6700万円の差が出るとの試算を示した。
会合に出席した岸田文雄首相は、「女性の活躍の経済的意義が改めて確認された」と指摘。その上で、「職場環境の変革を進め、構造的な賃上げと女性の一層の活躍に向け、関係省庁が一丸となって政策を推進していく」と強調した。
試算は29歳で第1子、32歳で第2子が生まれた4人世帯の生涯可処分所得について、出産後の妻の就労状況に応じ異なる6パターンを作成した。
それによると、正社員として就労を継続した世帯の所得は4億9200万円。これに対し、非正規として継続した場合は8700万円、年収100万円のパートとして再就職した場合は1億4000万円、それぞれ少なくなると試算した。
また、パートでも年収100万円と同150万円では、生涯可処分所得に1200万円の差があった。勤務時間を抑制する「年収の壁」が女性の就労にとってネックとされるが、税や社会保険料の負担が大きくなっても給与や将来受け取れる年金が増え、結果的に所得も増えると分析した。
PTでは、男女間の賃金格差の原因や対応策を整理した中間取りまとめも公表。格差の背景として、「女性は一般職」「自分には務まらない」といった「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」が、男性だけでなく女性自身にもあると指摘。男女の勤続年数の差や女性管理職のロールモデルの不在なども挙げた。
その上で、金融・保険業や食品製造業、小売業などの5産業に対し、課題解決に向けたアクションプランを年内に策定するよう要請。女性の平均勤続年数などをランキング形式で一覧できる国の企業データベースを整備する方針も示した。
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