一度きりの減税で多大な労力=星野卓也・第一生命経済研究所主席エコノミスト―定額減税(下)
―減税と給付を組み合わせた影響は。
オペレーションが深刻そうだ。労働者の人手不足と言われる中で、自治体や企業の経理など多くの人が、たった一度きりの減税のためにたくさんの仕事を強いられているが、コストという形で(定量的に)見えてこない。政府の政策もそういったところへの目配りが今まで以上に必要になっていると感じる。
―定額減税の効果をどう見ているか。
消費は、低所得の人の方がより増やしやすい傾向にある。だが、(所定の減税額に達するまで何回かに分けて控除するため)そういう人たちほど減額時期が分散されて効果が見えにくくなってしまう。
想定では、年収1500万円の人なら、扶養家族がゼロでも4人でも6月に所得減税が完了する。一方、300万円の人では扶養家族がいなくても完了するのは12月となり、2人いれば年内には引き切れなくなる。給付金より効果が表れにくい要因になってしまうかもしれない。
―電気・ガス補助金終了など負担増もある。
(負担増は)賃上げと減税である程度緩和されるが、消費の増え方が抑えられるだろう。家計の貯蓄率がマイナスになってきており、物価高で無理な消費をして生活を維持しているような世帯が多い。所得が増えると、消費に回るというより貯蓄に移すことになる可能性が高い。消費に回るのは2割かそれを若干下回るかというイメージだ。
[時事通信社]
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