2024-05-29 20:41社会

飯塚受刑者と遺族が初面会=「加害者の言葉もヒントに」―再発防止で・池袋暴走

飯塚幸三受刑者との面会に向かう遺族の松永拓也さん(左)と上原義教さん=29日午後、関東地方の刑務所

 東京・池袋で2019年4月、乗用車が暴走し、松永真菜さん=当時(31)=と娘の莉子ちゃん=同(3)=が死亡した事故で、真菜さんの夫拓也さん(37)と、父の上原義教さん(66)が29日、車を運転していた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三受刑者(92)の収容先の刑務所を訪れ、初めて面会した。
 拓也さんらは面会後、取材に応じ、「加害者の言葉をヒントに、再発防止のため自分たちに何ができるか考えてほしい。彼が面会を受けた勇気を無駄にしないであげてほしい」と話した。
 拓也さんらによると、同受刑者は車椅子で約45分間、アクリル板越しに面会に応じたが、スムーズな会話が難しいほどやつれていた。終始表情を変えず、拓也さんの質問に「はい」や「いいえ」などと短く答え、謝罪の言葉はなかった。
 ただ、「加害者の経験を踏まえ、再発防止のため世の中の高齢者や家族に伝えたいことはあるか」と問うた時は、「早く免許を返すように伝えてほしい」とはっきり語ったという。
 上原さんが「真菜と莉子のことを忘れないでほしい」と伝えると、同受刑者は目を赤く腫らし「はい」と返答。上原さんは「姿を見て、反省は少ししていると思った。飯塚さんときょう会えて良かった」と言葉を詰まらせた。
 事故は19年4月19日に発生。飯塚受刑者が運転する車が赤信号を無視して横断歩道に突っ込み、2人が死亡し、9人が重軽傷を負った。東京地裁は21年9月、同受刑者に禁錮5年の判決を言い渡し、確定した。
 拓也さんは今年3月、犯罪被害者や遺族のための「心情等伝達制度」を活用し、飯塚受刑者に面会を要望。同受刑者は4月、面会に応じる考えを示していた。 
[時事通信社]

遺族と飯塚幸三受刑者が会話した面会室=29日午後、関東地方の刑務所

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