規正法違反で交付金減額=自民が修正案提示、野党反発―衆院通過、来週持ち越しも
与野党は29日、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案の修正協議を続けた。自民が各党の要求を踏まえた修正案を提示。所属議員に規正法違反があった場合に政党交付金の支給を一部停止する制度の創設などを盛り込んだが、野党は「ゼロ回答」と反発した。30日に再協議する。
岸田文雄首相(自民総裁)は29日、首相官邸で自民の森山裕総務会長と会談し、規正法改正案について「何としてもこの国会で通すようにしてほしい」と指示。公明党は自民修正案に賛成する方向で、今国会成立の公算が大きくなっている。自民は週内の衆院通過を目指してきたが、野党の主張を丁寧に聞く姿勢を示すためにも来週に持ち越すとの見方が強まっている。
修正協議は衆院政治改革特別委員会の理事懇談会で行われた。政党交付金の減額支給制度の創設は、国民民主党や公明の提案を踏まえた。自民修正案はこれを付則に書き込むとした。
また、政党が議員に配る政策活動費の使途公開に関し、支出した「年月」を政治資金収支報告書の記載事項とすると明記。施行後3年をめどに見直す規定を設けるとした。自らが代表を務める選挙区支部に対する議員の寄付について、税制優遇措置の適用除外とすることも検討する。
パーティー券購入者の公開基準額は、現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げる案を維持し、公明が求める「5万円超」への引き下げに応じなかった。ただ、将来の見直し規定を置くのは、公明が賛成に回りやすい環境を整える狙いもある。公明の中川康洋氏は記者団に「主張の一部が反映されていない」と述べるにとどめた。
立憲民主党など野党側は、政策活動費に関する領収書の全面公開や企業・団体献金の禁止などの要求を受け入れるよう改めて迫った。首相が特別委に出席して審議することも求めた。自民は30日に回答する。
国会議員に月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開に関し、自民は衆参両院議長の下に協議体を設置する方向で野党と調整を進めている。立民に対し、29日の参院国対委員長会談でも打診した。旧文通費改革は日本維新の会が重視しており、規正法改正案への賛同を引き出す思惑がある。
◇自民修正案のポイント
〔本則〕
一、政策活動費の支出「年月」を報告書に記載
〔付則〕
一、規正法違反なら政党交付金の支給停止
一、施行3年後の見直し規定
一、選挙区支部への寄付の税制優遇除外を検討
一、個人献金促進に向けた税制優遇検討
一、外国人のパーティー券購入適正化へ規制検討
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