「同じ人間として扱われず」=原告訴え、強制不妊訴訟で弁論―「除斥」焦点、統一判断へ・最高裁
旧優生保護法に基づき、障害などを理由に不妊手術を強制されたとして、全国の男女が国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審弁論が29日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)で開かれた。原告らが意見陳述し、神戸地裁に提訴した鈴木由美さん(68)は「同じ人間として扱ってもらえなかった」と訴えた。
国策による差別と人権侵害について、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用が認められるかが焦点。最高裁は今夏にも統一判断を示す見通しだ。
弁論で、鈴木さんは「大きくなったら好きな人と(の間に)子どもが欲しいと思っていた」と無念さを口にした。札幌市の原告、小島喜久夫さん(82)は「自分で自分の人生を決めたかった。それができず悔しい」と涙声で語った。
全国で最初に被害を訴え、宮城県の原告でもある飯塚淳子さん(仮名)は「被害者は高齢化し、亡くなってしまう方もいる。早く全ての被害者が救われる判決を出して」と求めた。
14歳の時に手術を強いられた東京の北三郎さん(仮名、81)は「人生を大きく狂わされた。67年苦しみ続けてきた」と振り返り、大阪の原告で、聴覚障害のある野村花子さん(仮名)は手話で「優生保護法は障害者差別。子育てできる幸せな生活をしたい」と強調した。
原告側の代理人弁護士は、不妊手術と知らされなかったり、社会的な差別や偏見が残ったりしている状況下で訴えられなかった被害者が多くいると説明した。
国側は、除斥期間を適用して賠償請求を退けるよう求めた。被害者に一時金を支給する法律が成立し、問題解決を図っているとも述べた。
[時事通信社]
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