上皇さま、戦争への思い深く=疎開生活、たびたび話題に―栃木・日光
上皇ご夫妻は28日、上皇さまが疎開生活を送った栃木県日光市を23年ぶりに再訪された。90歳となっても「戦争への深い思いがおあり」(側近)という上皇さまは、ご夫妻の間で疎開生活がたびたび話題に上っていたという。この日訪れた日光田母沢御用邸記念公園には、上皇さまが1944年7月から1年間滞在した旧御用邸の建物が残る。庭園を散策中には、2階を指さし「あそこで勉強したわけ」と上皇后さまに説明していた。
旧御用邸は大正天皇の静養のため造営され、上皇さまは当時、「皇后宮」で生活。1階の「高等女官詰所(つめしょ)」で食事をしたり、こまを回して遊んだりし、2階にある皇后の「御学問所」隣の「御次(おつぎ)の間」で皇居の方に向かって「御日拝」をしていたと、前回訪問時に回顧していたという。
同公園の庭園には、上皇ご夫妻が前回訪問時に植えたイチイの木がある。96年7月の訪問時、上皇さまが庭を望む廊下から「あの辺りにイチイがあったはず」と指摘。その時は見つからなかったが、後日、その場所でイチイの切り株が見つかり、これを機に植えられた経緯がある。イチイは成長が遅いことで知られているが、現在は3.5メートルの高さに育っている。
庭園には二つの防空壕(ごう)も残る。同公園によると、内部は三里塚記念公園(旧宮内庁下総御料牧場、千葉県成田市)と同様、「H」の形をしており、主室と前室の配置など構造は似ているが、出入り口と「爆風逃し」の位置が逆になっている。2022年8月に内部を確認した際には、普通の長靴では入れないぐらい水がたまっていたという。庭園にはもう一つの「軽防空壕」もあり、戦争当時の面影を今に伝えている。
[時事通信社]
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