月面の石に「かんらん石」=起源知る手掛かりに―SLIM観測
日本初の月面軟着陸に成功した小型無人探査機「SLIM(スリム)」が科学観測用分光カメラ(MBC)で撮影した月の石の一つに、鉱物の「かんらん石」が豊富に含まれていることが分かった。地下のマントル物質に由来する可能性があるといい、月の起源を知る手掛かりになると期待される。SLIMの科学観測を担当する立命館大、会津大などの研究チームが27日、千葉市内で開かれた日本地球惑星科学連合の大会で発表した。
月の起源を巡っては、原始地球に別の天体が衝突し、現在の地球と月が誕生したとする「巨大衝突説」が有力。その経緯を知るには月の体積の9割を占めるマントル物質に由来するかんらん石を採取し、地球のものと比較する必要がある。
SLIMは今年1月、クレーター生成時に地下からマントルが噴出した可能性の高い地域に着陸。犬種にちなんだ名前を付けた周囲の石10個をMBCで観測し、鉱物組成などを調べた。
その結果、「ダルメシアン」と名付けた石にはかんらん石が多く含まれていることが判明。「ビーグル」には斜長石が多いなど、石ごとに特徴が異なることも分かった。
研究チームの佐伯和人・立命館大教授は「マントル由来と確定するにはさらに検討が必要だが、かんらん石がしっかり含まれていることは確認できた」と話した。
大竹真紀子・会津大教授も「検証しないと断言はできないが、(特徴が)地殻のものなど他の起源とはかなり違うと思う」と期待を寄せた。
[時事通信社]
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